■目次
1 ADHDの方がパニックになるとき
1-1 お客様のクレームでパニックになるDさん
1-2 パニックになる本質的な理由
2 自分の欠点を克服する方法
3 まとめ
1 ADHDの方がパニックになるとき
1-1 お客様のクレームでパニックになるDさん
私が大学を卒業し、
はじめて就職した会社で知り合ったDさん。
彼女は新卒の同期で、全国の数ある支店の中でも、
大阪の同じ支店に配属になったため、
2年近くも一緒に過ごした仲です。
彼女は典型的なADHDの方で、
事務処理のミスは日常茶飯事、
アルバイト従業員の管理も苦手、
論理的な説明が苦手で話が長くなる・・・。
など、様々な症状がありました。
特に多かったのが、ちょっとしたトラブルで
パニックになってしまうこと。
私の会社はコールセンターを運営している会社で、
アルバイトの従業員が電話応対をし、
我々正社員はアルバイトを管理する立場でした。
当然、クレームが発生すると
正社員が電話応対を代わります。
しかし彼女は、
お客様のクレームに真摯に対応するあまり、
言われることすべてを受け止めてしまい、
時折、パニックに陥るのです。
コールセンターという仕事柄、
理不尽な要求をしてくるお客様もいます。
できること、できないことを頭で整理しながら、
お客様に寄り添いつつも、
一線を引いた対応方法をしなければいけません。
彼女の場合は、
お客様の要望をすべて受け止めてしまうため、
収拾がつかなくなってしまい、
パニックになってしまうのです。
1-2 パニックになる本質的な理由
Dさんは、
入社後2年程度で寿退社をしましたが、
辛い2年間だったと思います。
この2年間、彼女が体験した辛い経験は、
ADHDの特徴ゆえに
起こったことではないかと思うのです。
まず、ADHDの方は、
お客様の話を整理することが苦手です。
その理由は、話の要点を捉えることが難しいからです。
自分流の解釈をしてしまい、
一生懸命に理解しようとするのですが、
お客様の会話のスピードについてゆけないからです。
自分流に解釈することは、
頭の中で一種の変換作業を必要とします。
猛スピードで英語のネイティブスピーカーに話しかけられて、
すぐに理解できる人は少ないですよね。
それと同じようにADHDの方は、
独特な解釈をしてしまうため、
話の要点をまとめきれずに、
思考がパンクしてしまいます。
もう一つの理由が、集中力の欠如です。
先ほど、ADHDの方は、
自分流の解釈をすると書きましたが、
一生懸命に解釈をしようとしている間、
お客様の会話が頭に入りません。
つまり、お客様から見ると、
自分の会話を集中して聞いていないと
受け取ってしまうのです。
その結果、さらにクレームが大きくなる
という悪循環を繰り返します。
2 自分の欠点を克服する方法
一方で、こんな成功体験もあります。
それは、同じくコールセンターで働くHさん。
彼もADHDかもしれないと感じている一人です。
彼の素晴らしいことは、
仕事でパニックになる前に、
自分のペースに相手を巻き込むテクニックを
身につけたことです。
お客様からクレームを受けた際には、
あえて会話の速度を落として、
お客様がつられてゆっくりしゃべるように誘導します。
上司から指示を受けたことは、
「あとで確認のためにメールでまとめてもよいですか?」
と、自分の理解に漏れがないかを
ダブルチェックする方法を身につけました。
つまり、自分の苦手なことを直そうとするのではなく、
アイディアで克服した人だと思います。
彼はこのテクニックを身につけてから、
どんな時でも冷静になることができ、
仕事中にパニックになることはなくなったと語っていました。
3 まとめ
今回は会話中にパニックになってしまう方を
例にご説明しましたが、端的に表現すれば、
ADHDの方は自分流の仕事の仕方をしてしまうために、
思考が追いつかずパニックになるのです。
一方で、どんな時にパニックになるのかを
正確に理解していれば、
決して克服できない問題ではありません。
自分の苦手を克服できるよう、
ぜひ、冷静で確実な仕事を心がけたいものです。